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[コメント] ULTRAMAN(2004/日)

「人間にとって都合の良い化け物」としての特撮ヒーロー。この一点に対して最大限の評価をしたい。
sawa:38

ウルトラマン』や『仮面ライダー』といった特撮シリーズが幼少期に刷り込まれた世代が現在の日本社会の核世代となった今、かつての熱き想いを現代に蘇らせるムーブメントがある。

キャシャーンやデビルマン、キューティハニーにさえその食指は伸びた。これらのネームヴァリューは絶大なものがあり、今や金を自由に使う事の出来るようになった「大人」が足を運ぶようになった。少しばかり安易じゃぁないかとの指摘も理解出来る。

しかし、私はそれらの作品に共通する「熱き想い」は大いに評価したいと思う。これらの作品の元ネタとなるオリジナルを今、再見すると、その不完全さに拍子抜けするはずだ。「あの頃」あんなに熱くなったモノがこんなにヘタレだったとは・・・

そして思う。現代の技術でリアルな映像で再現させたいと。

そしてもうひとつ思い出す。我々はもう子供じゃぁない。単純な正義観なんて本当の世界には存在しないって事を。「敵」にはそれなりの理屈があり、「敵」からみたら我々の方が「敵」なのだという事を嫌という程知ってしまった。水那岐さんも書いておられたジャミラやノンマルトの使者の理不尽さを大人になってようやく理解出来るようになったのだ。

だから私はドラマ部分にリアリティを求める。それは過度な要求だと知ってはいても求めてしまう。普通の作品には要求しないような要求までしてしまう。幼少期や成長期にソレで育った私にとって、不完全さが見えてきてしまった部分の補完作業を要求してしまうのだろう。

今回の本作も映像的には多くの不完全さを解消してくれたし、ドラマ部分でも多くの補完作業をしていたようだ。だけれども、やはり私的な過度な要求は満たされなかった。

それらを書きあげればキリがないから私はあえて書かない。今後他のコメンテーターが書いてくれる事を期待します。だから私は逆に最大限の評価したい部分を書きたい。それは劇中で使われた台詞「人間にとって都合の良い化け物」です。

この過去の特撮ヒーロー観を根底からひっくり返す形容詞に驚くとともに共感した。かつてのウルトラマンは救済者だった。もしくは友人であった。少なくとも人間にとって尊敬やら敬愛する対象として描かれていた。

しかし、人間にとって都合の良い存在であったことも事実であったはずだ。ただそれを公けに口にするのはタブー。事実でありながらこの形容詞を使えば過去の特撮ヒーローを全否定してしまう悪魔の言葉。こんな言葉を使ったならば、ここから拡がる奥深いドラマがあるはずなんだけど・・・・・・・・・

続編が出来るらしい。また『仮面ライダー』も本郷猛と一文字隼人を題材にしたリアルな苦悩を描く新作を準備中らしい。

どうか、異形の者としての苦しみを描く作品が仕上がる事を期待します。

PS.草刈正雄の役名が万城目であることをエンドクレジットで知り、感慨は膨らんだ。

(評価:★4)

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