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[コメント] 世界の中心で、愛をさけぶ(2004/日)

無感動な小説とあざといTV版の中間の程よさ。細かな設定の変更を積み重ねることで、より豊穣で味わいのある物語に変貌させることに成功した作品
アルシュ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







上映中は家内を誘いそびれて、“カップル映画”ゆえに一人で見に行くのもままならず、ブームに乗り遅れた形で当作品にのめり込みました。

まずは、コミック版で大まかを知り、TV版で夢中になる。その後、映画もTV版もサントラCD(何ゆえラズベリー・ドリームが入ってんだ?)を購入。パソコンの壁紙もせかちゅー化。自作型焼きDVDでTV版を完成させる。ついにはTV版の舞台となった伊豆松崎町を視察。そして04年年末にセルDVDを購入しフィニッシュ! ・・・せかちゅーにいくら注ぎこんだか解りません。

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小説を読んでも魅力を感じなかった原作を、細かな設定の変更を積み重ねることで、より豊穣で味わいのある物語に変貌させることに成功していると思います。ではその細かな設定の上手さはというと・・・

原作では交換日記だったが、映画ではウォークマンでの交換カセット。教壇でウォークマンする亜紀は可愛さ炸裂。

校長先生のお葬式に雨を降らせた。

サクと亜紀の原付バイク二人乗り。若いカップルが羨ましい。

原作では遺灰を容れる容器が木箱だったが、映画ではガラスの小瓶。

これらどれをとっても映画ならではのビジュアルを生かした設定が「吉」と出ている。

また、原作でごく僅かだった現代パート。語り部的な役割を果たした、サクの現代パートが充実。

原作では単なるマンション暮らしの設定だったシゲ爺も、写真館を営んだおかげで、舞台的にも絵になったし、ましてや結婚写真のエピソードまでも取り込めた。

こう言った設定や脚本が練りに練られており、それでいて爽やかなベールに包まれたような作品でした。

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さて、TV版のせかちゅーは映画での設定を継承しているが、イラナイモノが多すぎるし感動押し付けであざとい。例を挙げると「初回の伏線も何もない現代サク(緒形直人)の病気」「松本謙太郎(爺)の死」「病気に嘆く亜紀の入水自殺未遂」「大人になったサクの入水自殺未遂」「自転車こけすぎサクちゃん」「現代パートのサクの恋人=小林明希(桜井幸子)の交通事故」「空港でのサク(山田孝之)の情けない“助けてくらしゃい”」「現代サクの灰まきダッシュ」など、枚挙に暇がない。

映画でのサク役森山未來が大人になると、確かに大沢たかおになりそうなくらい似ているのですが、亜紀(長澤まさみ)のルックスやら優等生ぶりとはバランスが取れておらず、ベストカップルとは言いがたく違和感がありました。TV版の山田孝之君が演じたら果たしてどうだったかとも思います。でも、映画での森山未來君の「助けてください!」には涙させて頂きました。対してTV版の山田孝之君・・・やめてください。感動場面が「助けてくらしゃい」では台無しです。笑って涙させて頂きました。

(評価:★4)

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