コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団(1974/日=タイ)

日本人からすると、まるで精神を冒されそうな作品。だからこそ、これは笑って済ませてしまいたい作品です。逆に思い入れがあるからこそ!
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 ところで、この作品は私にとってもかなり特別な部類に入る特撮作品。私自身、人後に落ちるものではないと断言できるほどの特撮ファンではあるが、特撮というのは、時折すさまじくイタい作品というのが出てくることがある。しかも時にその中には、幼少時のトラウマとして残ってしまうものもある。

 本作はその最たるもの。

 これを観たのは小学生の頃で、たまたまテレビで放映したものだったはず。しかし、いきなり冒頭からの展開に頭にはパニック状態。何せ主人公が日本人じゃない上に、ウルトラマンとは全く関係がない猿のバケモン。しかも正義のヒーローのはずなのに、高笑いしながら人間を握りつぶす描写を見せつけられるわ、出てきた怪獣軍団がやってることが押しくらまんじゅうだったわ、最後のウルトラ兄弟とハヌマーンで一体の怪獣を集団リンチにかけるわ、意味があるのかないのか分からない猿踊りを延々観させられるわ…今考えても、充分にトラウマになる内容だったと思う。少なくとも私の心には忘れ得ぬ痕が残った。

 しかも、たまたま高校時代に何人かの友人と会話中、何気なくウルトラマンの話が出てきたので、この話を得意がって話したら、思いっ切り嘘つき呼ばわりされると言うオマケまで付いた…おかしい。みんな同じ時代に同じ地域で生きてきてるので、当然観た人間はいるはずなのだが…

 結果、長いことこれは私の中で封印されたままの作品となってしまった。

 その後、だいぶ経ってネットを始めるようになり、ぼつぼつといろんな知り合いが出来ていたが、やはりと言うかなんというか、特撮つながりの友人も出来た。それでおそるおそるその話を始めたところ、あっけないほどにあっさりと話が通じてしまった。ここに来てようやく長年のトラウマが解消された(ネットで検索してもよくヒットするので、結構有名な作品には違いない)。

 で、考えてみたらレビューしてなかったな。と思い直したので、ちょっと書いてみたい(つーか、実は本文はここからです)。

 タイというのは仏教国だから、慈悲深い国かと思ったのだが、本作での死に方は堂に入ってる。最初に主人公の少年が頭撃たれてぱっくり頭が割れて死ぬだけでなく、その少年を殺した悪人は情け容赦なくハヌマーンに踏みつぶされるわ、握りつぶされるわで残酷に殺されるし、出てきた怪獣は怪獣で腕を千切られ、首を引き抜かれ、肉をはぎ取られて骨だけになったり、最後の一体となったゴモラは這い回って逃げようとした所をウルトラ兄弟に手足をがっちりと押さえ込まれ、ハヌマーンの棍棒でめった打ちにされて絶命という、いくらなんでもここまでやるか?的な描写が続く。何という国だ。タイというのは。この辺は多分仏教国だからこそ、仏像を大切にしなければ仏罰が落ちるぞ。という説話じみた話なのかもしれないけど。

 更に科学考証は凄まじいというしかない。一応科学的な部分も結構あって、タイ全土を襲う干ばつの被害をどうするかと、一応科学者達が顔揃えて考える描写があるんだが、その原因というのが、太陽の神様がちょっとだけ間違えて地球に近く来すぎたと言うだけのオチ…おい。そんな間違いするんだったら、これまでに地球は何度も滅んでるぞ。しかもそれを収めたのは科学ではなく、ハヌマーンが頼んだからという…しかもその会話というのが、「お前の炎は近頃激しすぎるぞ」「そういえばそうだな」…おいおい。それで、人工降雨計画なるものが発動されるのだが、それを推進した博士は発狂してしまい、しかも研究所は爆発。更に怪獣軍団を呼び込んでしまう。科学って無力だな。

 しかもこのハヌマーンはどう見てもウルトラマンシリーズにはそぐわない、なんとも言えないような姿してるし、ウルトラの母の交友関係の広さを思わせてしまう。 

(評価:★1)

投票

このコメントを気に入った人達 (3 人)kiona[*] 水那岐[*] 荒馬大介[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。