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[コメント] 仁義なき戦い 完結編(1974/日)

完結とはあくまで一つの終わりに過ぎません。抗争は果てしない…
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 前回の『頂上作戦』で既に第一線から退いた形となった広能が、既に自分では若い組員がコントロール出来ないことを痛感させられる話となっている。実はこの若い組員こそが、若き時代の広能達がやってきたことなのだが、一旦上に立ってしまうと、それは抑えなければならなくなる。それが立場の違いと言う奴だが、考えてみると、戦国時代の武将も同じような苦悩を抱え込んでいたのだろう。

 そう言うことで、この話は『頂上作戦』に続き、若手の行いが中心となる訳だが、前回のように広能が完全に引っ込んでいた訳じゃないので、その痛々しさが余計際だつ。これは何も広能だけじゃなく、これまでも実を取るため散々「儂はもう駄目じゃ〜」を繰り返していた金子信雄演じる山守も、言葉こそ同じ事を言ってるものの、今回のそれは大変痛々しく感じられる。この辺は演出の巧さか。それがとても寂しく感じられる。勿論山内の腰巾着で、世渡り上手なだけで一家をなした槇原(田中邦衛)が、とうとうここで死んでしまうのも寂しいところ。

 結局本作の目的とは、その“寂しさ”の演出にあったのだろう。その意味では見事な作品なのだが、どうしてもその寂しさって奴が、後味悪くて。

 結局、広能の努力虚しく、若手の暴走はまだ続いていく。やくざの抗争は終わらない…

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)けにろん[*] おーい粗茶[*] 死ぬまでシネマ[*]

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