変な武器も使うし、容赦なく人を殺す。意味がわからない。格好良くもない。

そしてあの売店のおじさんとのイラッとするやり取り。でも結局彼を殺さない。

何だよ。容赦ないと思ったら、たかがコインに従うのか。やっぱり変態だ。

私はすっかりその男を変態だと思い込んだ。

でも違った。

モスの妻は言う。「あなたは殺すわ。」そしてその通り妻を殺した。

彼は殺人鬼だった。変態だなんて生易しい言葉で表現してはいけなかった。

一瞬の気の緩みも許さない緊迫感の中、その事実を突きつけられ、私は度肝を抜かれた。

そしてその殺人鬼でさえ、一瞬の気の緩みも許さない緊迫感の中に存在する、しかもそれは日常であるという事実までも突きつけられた。

混乱した。でも納得もした。

恐らくその緊迫感や衝撃そして混乱が、ギリギリ心地良いものだったからだろう。