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[コメント] 異端の鳥(2018/チェコスロバキア=ウクライナ)

一人の人間が生きぬくということは、かくも大変であるのだ。
プロキオン14

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







3時間近くの長尺の映画で、特に説明もないままに、「名前」だけが映し出されて、ひたすら少年は、人々の間を渡り歩く。少年はどこにも安心して暮らせるところなどなかった。

その最たるが、鳥飼の親爺の家でのこと。本当ならここではゆったり暮らせたのかもしれない。しかしペンキを塗られた「異端の鳥」は、仲間たちから攻撃を受け、地に堕ちてゆく。そして情婦を失った親爺はロープを掛ける。一瞬助けようとした少年。しかし次の瞬間、彼は親爺の足を引っ張った。

そして強く印象に残ったのは、司祭(ハーヴェイ・カイテル)との出会い。少年のことを気の毒に思い、助けようと、本気で手を差し伸べた人。司祭のとった手段は、結果的には最悪手だった。傷ついた少年のとった行動は、恐らくこの映画の中で一番の衝撃だった。

その後も数々の人の間を渡り歩くが、最後の最後で登場した少年の「名前」。ここで初めて、少年は「人間」になった。そんな気がした。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ゑぎ[*]

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