衝撃的なシーンが多いと聞いていたけど、思いの外ポップでカラフル、というか作り物感が強かったので、皮膚感覚で衝撃も痛みも伝わってこなかった。元々が漫画が原作ということで、そのようなテイストは当たり前なのかもしれないけど、そこから何かが実感を伴って浮かびあがってくるかといえば、そのようなものでもなかったようで･･･。

強いて言えば復讐というモノの不条理。その本当の意味は、本人以外には分かり得ないものでありながら、その生みの親ですら、復讐という「怪物」を飼い慣らしているつもりが、自らがその怪物に飼いならされてしまう、という不条理。そして宿主を失ってからも怪物は一人歩きをはじめ、最終的には「永劫近親相姦を犯す」という形で目的を貫徹する。

と、そんな筋書きなのかもしれないけど、やはり不純物が多過ぎてしっくりこない。「あんなこともやってやろう、こんなこともやってやろう」みたいな変な色気が、逆に作品の本当の意味でのインパクトを阻害しているというのか･･･うまくいえませんが。いろいろやりたいなら、もっとシンプルな題材でやって欲しいです。

(2005/11/11)