きっと苦い後味がいつまでも舌に残るに違いない。

いくらアロンゾが汚い手を使って立ち回っていたとはいえ、ジェイクが最後に選んだ正義も、少なくとも法の下での正義ではなく、他人の手を借りた制裁でしかない。アロンゾのやり口に反撥しつつも、個人の正義を貫くためには法の手から離れた手段も厭わないということを、この一日のトレーニングで知らずのうちに習得してしまったという皮肉。多かれ少なかれ苦味の伴なわない正義なんてものは、結局は存在しないのだろうか。

それにしても皆様と同じくまんまとダマされました。はじめは中途半端にしか世の中を知らない若僧に、経験豊富な悪漢捜査官が社会の厳しさを叩き込むだけの話かと思いきや、どんどん雲行きは怪しくなる一方。せめて若僧の姿を前に失いかけたものをとり戻す話にでもなってくれれば、なんて思いつつもそんな甘いもんじゃあない。スカっとするようなカタルシスの代わりに、勝利の裏に残る一抹の苦さ。というワケで、せめてこの「苦さ」の意味をじっくり噛み締めてみたいと思う。

(2002/8/21)