いけちゃんのような存在が本当にみんなの近くにいたら現実はこれほど厳しいものではないだろう、と思ってしまう。ただ、このいけちゃんがヨシオの成長と共に自然発生的に芽生えてくるこころの成果物のようなものだと思っていた僕は、一人の女性の念力型妄執恋愛の変形だとは露知らず、ラスト近くなってから何かうず痒いものを体に感じるようになってきた。

こうなると、少年から大人への成長ドラマではなく、立派な恋愛ドラマなんですね。ここが相容れない人とそうでない人と評価が分かれるかもしれないが、まあ、ただ単なる少年の成長ものだとしたら、特に見所がない（新味がない）映画となってしまったかもしれないですね。でも僕はそれでもいいかなあとも思ったけれど、ね。

それにしてもやはりこの映画はいけちゃんのこころを十二分に出せた蒼井優の声優力でしょう。この映画、今度は目を瞑ってじっくり鑑賞したい、そう思う。