映画が終わった直後から、一つの疑問があった。「で、ブルース・ウィリスは超人なの？」

この映画のテーマは、「現実的なアメコミ・ヒーローを描くこと」であり、乱暴な表現で言い換えれば、「超人でも何でもない一人の男を、アメコミ・ヒーローに仕立て上げること」ではないのか。

このページを見ると、ブルース・ウィリスを超人ととらえるコメントと、そうでないととらえるコメントが混在しているように思える。

ブルース・ウィリスは、何故不死身なのか？本当に銃で撃たれても死なないのか？

列車事故で死ななかったのは、運が良かっただけなのか（どうなったら無傷で助かるのかはわからんけど）？彼は銃で撃たれても死なないのではなく、撃たれないから死なないのでは？

他人の悪事を見抜く能力も、超能力でも何でもなく、やっぱり「勘」なのではないか？テレパシーみたいに心を読むのではなく、相手の身振りなどの情報から無意識のうちに判断しているのでは？

力が強いのも、人間として考えられる範囲の強さだったのかもしれない。

水が弱点といっても（バルゴンみたいだな）、水に触れたら火傷をするというわけではないし（プールに落ちるシーンを見ればわかる）、生きるために水は飲んでいるはずだ。

そんなふうに考えると、疑問や不満に対しても答が出せる。

●ブルース・ウィリスは何故自分が不死身であることに気付かなかったのか？「運が良かった。」で納得できたからだ。ナイフを突き立てても刺さらなかったなら、変だ、と思うだろうが、ナイフの刃が身体に触れなかったのなら、怪我をしなくても不思議には思わない。

病気は、もっと気付きにくいだろう。小学生ならば、「俺、一度も学校休んだこと無いんだぜ。」と自慢したりもするが、大人になるれば、そういうことなど考えなくなってもおかしくはない。「災難は忘れた頃にやってくる」の言葉通り、大抵の人にとっては、病気をしない状態の方が普通なのだ。健康な状態が続いたからといって、「そういや俺、病気をしていないな。」と気にすることはないだろう。

●悪人を見分けられるはずのブルース・ウィリスが何故、サミュエル・Ｌ・ジャクソンが悪人であることに気付かなかったのか？情報が足りなかったからだ。握手したときの肌の感触（肌の質で、職業を当てたら、シャーロック・ホームズみたいだ）、壁に貼られていた新聞の記事という情報が補足されて、初めて気付いたのだ。

●ブルース・ウィリスがサミュエル・Ｌ・ジャクソンと戦わないのはつまらないかもしれない。しかし、彼はあくまで現実的なヒーローなのである。大抵の事件は、警察へ電話一本入れれば済むのである。

●今回のどんでん返しはつまらなかった。予想はついたし（僕も二人が戦うことを期待していた）、味方だと思った人間が敵だった、というのは、ありがちなオチだ。しかし、この映画ではどんでん返しなど、付け足しでしかないのだろう。どんでん返しがありがちなのに対し、「現実的なヒーローを描く」というのは、ちょっと珍しい。どんでん返しではなく、「現実的なヒーローを描くこと」がテーマなのだろう。

……と、映画を弁護するようなことを書いてきたが、自信を持てないのが悲しい。ブルース・ウィリスは超人なのか、そうでないのか？ネットで検索して調べてみたが、答が見付からなかった。

シャマランの映画って、説明が少ないなあ。

おまけに終始テンションが低いことには変わりがない。

そしてこの映画に僕が抱いているイメージは「馬鹿ミステリー」（byあき♪）である。

予告を見たときは、列車事故でたった一人、無傷で助かった男を映した不気味な映像に、何か陰謀めいたものを感じたのだ。まさか、アメコミ・ヒーローがテーマだったのは……。