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[コメント] ミュンヘン(2005/米)

この映画のキーパーソンはジェフリー・ラッシュ。彼に「国家」を演じさせた時点でこの映画が傑作となることは決まったようなものだ。
ナム太郎

**ネタバレ注意**
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僕とってはこの映画が政治的にどのような意味を持つのかなんて話はどうでもいいことなのだが(ていうか、スピルバーグというだけで最終的な落としどころは見えているわけなのだが)2時間44分という長尺を飽きさせることなく、いや、常に緊張状態をもって描き切ったスピルバーグの腕力にはただただ恐れ入った。

そのキーパーソンはジェフリー・ラッシュ。彼に「国家」を演じさせた時点でこの映画が傑作となることは決まったようなものだ。元々上手い人だったが、『パイレーツ・オブ・カリビアン』といい今作といい、要所を締める脇役を演じさせたら今や彼の右に出る者はいないんじゃないかと思う。本当に素晴らしかった。

素晴らしかったと言えば、情報源のルイを演じたマチュー・カソヴィッツもいい味を出していた。結局彼とパパの正体は謎のまま終わるが、ああいう謎めいた雰囲気が最後まで維持したのは彼の演技の賜物だと思う。

あとになったが、主役のエリック・バナも一癖ある脇役陣にのまれることなく本当によくやっていたと思う。長く会うことすらできぬ娘の声を聞いて涙するシーンなどはすごくよかった。こちらももらい泣きしたほどだ。

あとはヤヌス・カミンスキーの撮影。色調を微妙に70年代風に仕上げているところなどは彼ならではの仕事で本当に感心したし、部分的に用いた手持ちカメラなんかも抜群の効果をあげていたと思う。

はっきり言って重いし、たくさんの血が流れるんでそういうのが嫌いな人にはどうかと思うが、私には満足度指数が非常に高い傑作だった。

(評価:★5)

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