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[コメント] 荒馬と女(1961/米)

全体的なまとまりとしてはともかく、個々のシーンに目を向けると、崩壊寸前のいわば狂気にも似たギリギリの美意識が、時に何とも言えぬ恍惚感を生み出しているシーンが垣間見られたりする非常に困った作品である。
ナム太郎

それぞれの立ち位置が中途半端でダレる時間帯が多いのは大スターを集結させた作品に見られる悪癖のようなもので、本作もそんな罠にはまった、全体的なまとまりとしては決してうまくいったとは言えない作品でありながら、しかしその反面、個々のシーンに目を向けると、崩壊寸前のいわば狂気にも似たギリギリの美意識が、時に何とも言えぬ恍惚感を生み出しているシーンが垣間見られたりする非常に困った作品でもある。

そんなギリギリの先頭を走るのは勿論モンローであるわけだが、例えば彼女のルックスひとつ取ってみても、往年の美しさ、可愛さは何処へと思うショットもあれば、いわば中年にしか出せない崩れる寸前の何とも言えぬエロティシズムを感じるショットが見られてドキッとしてしまうし、また野生馬を捕獲しようとする男たちに抗議し叫ぶ彼女の姿も、演技とは思えぬようなギリギリの感情がほとばしっているように感じた。

さらに野生馬の捕獲のシーンと言えば、それまでは職人らしい丁寧なカットつなぎで綱渡りしていたヒューストンの演出が、それらのシーンだけはカットつなぎ云々と言った理屈を超えたテンションの高さで迫ってきて(それはロデオのシーンもしかりである)何なんだこれはと慌てずにはいられなかったりもした。

結局そんなギリギリのところをどう受け取るかによってこの作品の価値というものも大きく変わってくるのだろうが、自分がその判断を下すには今しばらくの時間を要するようだ。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)uyo[*] りかちゅ[*] ジェリー[*]

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