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[コメント] バービー(2023/米)

ピンクが強調された作り物感溢れるポップな背景。その非現実世界の中で生身の人間が人形を演じる異様さ含め妙な味わいはある。歌やダンスのシーンが豊富なのも嬉しく、充分楽しめる出来だが不満も多い。
太陽と戦慄

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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ライアン・ゴズリング演じるケンがバービーランドを男性社会に変えようとして一時的には成功し、マーゴット・ロビー演じるバービー含むバービー軍団がその流れを阻止しようと動き始めるあたりから戦闘的フェミニズム映画の様相を呈してくる。それ自体は全然構わないというか、そういう映画があってもいいと思う。

ただ、話が進めば進むほど台詞が過剰というか啓蒙臭さ全開になっていく。思想を伝えるにしても、もう少しスマートな表現方法はあったのではないだろうか。

最終盤ではバービーの添え物でしかないケンの辛さみたいなところにも物語はフォーカスしていく。女性が強くなった社会で自らの存在意義に悩む男性、というのも現代的なテーマだろうが、これに対して納得性のある帰結が示されたとも思えない。なんだか薄っぺらい綺麗事で適当に流されてしまったというモヤモヤ感が残る。

男女間バトルをやるならやるで、とことん突き詰めてほしかった。これではあまりにも中途半端じゃないだろうか。ファンタジーに社会性を盛り込んで意欲的ではあるが、着地に失敗している作品という印象は否めない。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)クワドラAS ロープブレーク[*]

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