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[コメント] KCIA 南山の部長たち(2019/韓国)

原作ありのフィクションだけど、大筋は十分ありうるひとつの真実になっていて、スリリング。
SUM

実録KCIA―「南山と呼ばれた男たち」』は1994年に邦訳(内容は原著から削った点多数あり)が出ているけど今は絶版か。映画化にあたっての復刻もされてないようだし。 原著は、朴正煕時代の歴代のKCIA部長を描いているので、映画化対象は原著からするとかなり部分的。朴正煕暗殺を描いているのだからそりゃあそうなるのだけど。 原著邦訳しか読んでないので本物の原著のことはわからないのだけど、朴正煕は見事に「分断統治」をして、部下同士を対立させたり忖度させたり、ある部下を突き放して別の部下を重用したかと思うと、何かの事案で重用した側を左遷して突き放してた部下を登用するとか、そういう組織操縦をしまくっていた人物であることが非常によく述べられている。

細部はともかく、警備室長をより重用した朴正煕に身の危険を感じたKCIA部長の犯行という構図は普通に有力説のひとつで、犯行に及んだKCIA部長がデモへの強行策に反対したのも史実で、それが「民主化」の「正義」のためだったかは史実としては未解明だとは思われるものの、そういう説も実際ある。

明確な脚色もあるのだけど、ともかく朴正煕政権下で部下達が権力闘争していく様は、ああ、こういうひりひりする、政治としては「汚い」争いはあの時代あったのは現実のようだ。

そのスリリングな史実を脚色して描いたこの作品は、役者もすばらしいし、この怖さ、映画としての出来は十二分。まいった。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ぽんしゅう[*] シーチキン[*]

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