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[コメント] 息子のまなざし(2002/ベルギー=仏)

古今東西あらゆる宗教家、哲学者、心理学者、法学者、政治家、それにアーティスト達が挑んできた人類永遠のテーマ。
新人王赤星

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「もっとも憎い相手を赦せるか」

被害者と加害者の間に聳え立つ壁。憎むべき敵との相手に聳え立つ高く険しい壁。

いつもダルデンヌ兄弟は最も普遍的で、最も重要で、最も目を背けがちなテーマを突きつけてくる。しかも最も生々しい方法で。

人権先進国であるEUの中心国で作られたこの映画を先進諸国で最も人権後進国の日本はどう受け取るだろうか。

この壁を人類が克服した時、劇的な変化が生まれるだろう。ブッシュアメリカの帝国主義とアルカイダのテロリストとの間に聳え立つ壁が悲劇を生んでいる現在、このテーマが胸に突き刺さる。

お互いの立場が判明した後、少年は逃走する。少年にとっても「もっとも恐ろしい相手」なのだ。その後、彼らはどうなるのか。憎しみは消えず、新たな憎悪の連鎖が生まれるのか。きっと違うだろう。不器用な二人は言葉も無く、共同作業をする。もちろん完全に分かり合えるには時間がかかるだろうし、不可能かも知れない。しかし、それでも希望を感じずにはいられないラストだ。

きっと壁は克服出来るはず。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)プロキオン14[*] 町田[*]

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