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[コメント] 赤ひげ(1965/日)

驚くべきは三船敏郎加山雄三の2本柱が2人とも繊細な演技が全くできないってこと。にも関わらず(特に三船が)強烈なオーラを放って物語に引き摺り込んでくれます。監督が俳優の魅力をしっかり見極めているってことなのかな。
Myurakz

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セリフの言い回し一つとっても、三船は「うむ!」だの「わしは!」だの咳払いをしながら喋るみたいな口調一本だし、加山は加山で今にも「ぼかぁねぇ」と若大将になりそうな坊ちゃん口調一本やり。「この人たち普段もこんな喋り方してんだろうな」というのが想像に難くないそのままさなんですが、そんなことを吹き飛ばす存在感が強烈なボディーブローとなって心に響いてきます。役者に最も必要なものは演技力じゃないのかも知れない、とさえ思わされます。

当然その存在感には監督の手腕も大きく関係しているわけで、まずは見事な適材適所。ここにこの2人を配した段階で、最早演技力なんて必要なかったのかも知れないですね。

脚本も非常に細やかで、積み重ねられる赤ひげとのエピソードにより、冒頭からの保本の気持ちの変化が手に取るように想像できます。最初から予想通りの展開を見せているにも関わらず、無理のない展開からか恣意的な感じが余りしないんです。おとよのエピソードに関しては、後の「嫉妬」が控えているためか、最初の「看病して通じ合う」部分が簡単に過ぎたような気もしますが。

苦言は実はもう一つ。佐八のエピソードなんですが、おなかってちょっと早合点が過ぎる気がして腹が立ちます。勝手に幸せを恐がって勝手に審判を下して勝手に家出、挙げ句勝手に自殺。あなたの行動には佐八の気持ちが全く組み入れられてないよと。ここの辺りはもう少し丁寧に描いて欲しかったかな。

まぁこの辺りの問題は、全て内藤洋子の美しさで相殺しちゃったんですけどね。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)Pino☆[*] 水那岐[*]

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