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[コメント] GONIN(1995/日)

バイオレンス映画が成熟した現在となっては、凡庸な設定かも知れない。それでも僕がこの映画を愛するのは、この映画のキャラクター達の個性の爆発が故なんです。以下感想と鶴見フリークのカミングアウト。
Myurakz

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







この映画、「GONIN(5人)」と題しておきながら実に多くの男が出てきます。佐藤浩市本木雅弘根津甚八椎名桔平竹中直人ビートたけし木村一八鶴見辰吾永島敏行。主人公グループの5人(佐藤・本木・根津・椎名・竹中)という括りもあれば、主要人物としての5人(上記から椎名抜けてたけし入る。宣材的にはこの5人になる)という括りもある。これをダブルミーニングなんて大袈裟に言うつもりはありませんが、タイトルがどの5人を指すのかもわからないというのは非常に珍しいと思います。穿って考えると、観客に一任しているようでもあるし、わからないまま男達の生存競争に突入させる狙いのようでもある。

そしてそんな渾沌とした男達の人間関係がまた非常に濃密。これはコメントに書いたように「キャラが立っている」ことによるんだと思います。本木雅弘の色気、竹中直人の狂気、ビートたけしと木村一八の愛憎と嫉妬。一人一人が非常に濃厚で、かつ互いの関係が非常に濃密。「匂い立つ」という言葉がピッタリくる、殺し合いでありながら愛憎劇でもある一種異様な雰囲気に仕上がっています。

そんな中、ひと際僕の目を引いたのが鶴見辰吾。他の人達のように際立ったキャラクターを与えられたわけでもなく、ともすれば埋もれがちの役柄なのにも関わらず、僕には彼の演じた嫌らしくも情けない薄汚れた「男」が最も格好よく見えました。それが脇役に徹した結果なのか、勝負の末なのか、それともたまたまなのかはわかりません。ただ僕はこの映画で金八先生のイメージしか無かった鶴見辰吾の評価を大きく揺るがされました。そしてそれは『鮫肌男と桃尻女』で決定的になります。

今や僕の中では彼は「日本のゲイリー・オールドマン」です。そして僕は日本で数少ない「鶴見辰吾ファン」です。そんな驚きを与えてくれた映画として、この作品に5点を献上させていただく次第です。

神様、どうか鶴見辰吾の評価が今より2割くらい上がりますように。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (5 人)ExproZombiCreator yasuyon picolax[*] サニーデイ[*] けにろん[*]

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