[コメント] 殺し(1962/伊)
ベルトルッチのデビュー作。物語の時間軸を整理する役割もある日照り雨や夜の公園を捉えた映像によって、平凡の作品とは一線を駕す雰囲気を放っている。邦題が持つ雰囲気同様、ダークな映像テイストが興味深い。映像のセンスを見ると、デビュー作からベルトルッチらしさが垣間見れる。
ストーリーに関しては黒澤明の『羅生門』と同じ形式をとって進められるが、どうもメリハリが感じられない。序盤の2人目くらいの回想シーンでは若さや勢いを感じさせるが、終盤に進むに従って退屈なシーンが続くようになる。それぞれのエピソードが絡みきれていないのが終盤になって露骨に表れ、あまり感情描写に重きがないこの映画は破綻しているようにも見えた。
ただ、どうしてもベルトルッチの映像センスが捨てきれないため、あまり低評価ができないのが僕のジレンマだ。
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