ブリジットという人はモテナイ人のみっともない部分を全部体現してるような人。共感も何も典型的キャラクターだ。男でも女でも大抵の人が持っている要素が詰め込まれている。まずはじめにみっともない部分をこれでもかと見せて、｢ああわかるわかる、私にもある｣という共感と｢私だけじゃない｣という安心感を与える。そして最終的にはそのみっともない部分の塊のような人の魅力を最大限に光を当ててあげて、｢ありのままでいいんだよ｣と言ってあげて、ハッピーエンド。そりゃヒットするわな。

モテナイ人というのはモテル人にはない魅力がある。正確に言えばモテル人はモテナイ人ならではの魅力を捨てているからこそモテルようになる。誰でもそうだと思う。モテナイけど魅力ある、なんて何も不思議な事じゃない。ただしモテナイ人の魅力というのは表に出にくいし、表に出てしまってはその魅力は失われてしまう。だからモテナイ人ならではの魅力を持ったままモテル人になりたいなどというのはズルイ話である。たくさんの人にモテル人になりたければそれなりに自分の中の何かしらを諦めなければならない。

ブリジットはモテナイ人ならではの魅力の塊のような人。モテナイタイプだが実はモテル人だ。ブリジットのようなタイプの多くの人はただのモテナイ人である。だからモテル人になりたければありのままでいていいはずがない。この映画ではそれを｢いいんだよ｣と言ってあげる。散々モテナイ要素を指摘しまくって、｢でもキミはそれでいいんだよ｣と言ってあげる。そして何の変化もなくモテル人にしてあげる。もう究極のオナニー映画。

俺もモテナイ人を自覚してる方なんだけど、間違ってもこの映画で元気づけられることはない。どうしてもモテル人になりたいのならば、｢ああ、ブリジットのようにはなりたくない｣と思わなければいかんのではないだろうか。なあモテナイ諸君よ。モテル人にはその辺をちょっと講義してほしいもんだ。