[コメント] アルゼンチンババア(2007/日)
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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作品としては些か冗長であるとの感は拭えない。登場する男たちは揃いも揃って情けない連中でありすぎるのが鼻に付くし、かといって堀北の思いも黙して語らぬ彼女ゆえ理解不能である。実のところよっぽど途中で席を立とうかと思った。
しかし、堀北と鈴木の和解は、子供の誕生という予期せぬカタチで齎され、目を瞠らされた。鈴木は非常識な世捨て人、という自分の偏見はここにおいて覆される。彼女の目は立派に巨視的なのだ。役所も堀北も総て受け止められる包容力を持ちながら、あえて突き放すところに彼女の深い思いが垣間見られる。
愛はその時よ永遠なれ、と望むところから生まれる心だとは彼女の弁である。だが、それゆえに彼女は役所との愛の時間を持続させない。彼女には判っているのだ、時を止めたがっている役所と同じ時間を生きる娘の時間は、ちゃんと流れているのだと。全く見上げた母親ぶりである。鈴木をババア呼ばわりするのは些か失礼すぎないかと最初は思わされたが、鈴木は図抜けて誇り高きババアであった。母として熟練の境地を迎えた、実に素晴らしいババアである。
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