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[コメント] 彼らが本気で編むときは、(2017/日)

強い「母親」であるために必要なことが描かれる。ひとは自分のエゴと欲求をはっきりと認め肯定しながら、義務との折り合いをつけるためにそれを己の行為で消化する。そして可能な者が母だ。海岸で男根の縫いぐるみを燃やす「儀式」は、自分にはひどく崇高な祈りのように映った。
水那岐

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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そして、リンコによって少女に託された乳房の縫いぐるみも示唆的なものに映った。それは母親に与えられた慈愛の象徴だろう。母親にもエゴは必要だ、だがそれを踏まえた上でそれらに課された義務は象徴的な乳房だ。これには驚かされた。乳房がすべての女性に平等に与えられたものでないことは十分承知で、それは子を育てるものたちが心に持つべきものだ、と教えられたように思った。

この映画には強力な男性が不在である。最初はそんなものの描けない荻上直子の開き直りかもと思っていたが、そんなことではなかった。これは「母親」をめざす人々を描く映画だったような気がする。だから、描かれるべきはトモを含んだ母親にならんとする人々だったように思えた。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)irodori[*] けにろん[*]

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