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[コメント] パシフィック・リム:アップライジング(2018/米)

特撮だけを眺めているならそれはそれで愉しい。オタク的な見方で観れば十分に堪能できるだろう。だが、「オタクが映画を創る」のは別に構わないにせよ、「オタクのために創る」という方法論でゆくのはどうだろう。もうすっかり先細りが見え始めているじゃないか。
水那岐

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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たとえばの話。東京に「アナハイム・エレクトロニクス社」がそびえているのを嘗めるように映されて楽しいですか。ユニコーンガンダムのレプリカに胸の炎が燃えますか。って、気にもとめなかった貴方はこんな話はスルーしてください。

ディテールどころか、各々の挿話すらもうっすらとしか覚えていないデル・トロの前作を語るのには胸に申し訳なさがこみ上げますが、はたして前作ってこんなにちっぽけな話でしたっけ。監督のスティーヴン・S・デナイトは立派な日本特撮オタクらしいですが、それは別にどうでもいいんです。こんな枝葉の枯れた樹みたいなストレートな話が「パシリム」でしたかい。オヤジになりかけの新米教官パイロットと、メカ製作では玄人はだしの天才少女のペア戦士なんて、まるで『ガンダムエース』誌に載ってるガンダム二次創作漫画みたいなプロットじゃないですか。日本ロボット&ロリコン漫画の王道をゆく凡作コミックの常道じゃないですか。その他、大気圏突入や量産イェーガーの暴走など、日本じゃマネされ尽くされたアイディアに俺は溜息をつきました。若い世代の戦士たちを際立たせるために、無意味に古顔を早死にさせるのも「皆殺しの●野」の常道って奴ですか、一番安易な盛り上げ方です。…これにデナイトが満足しているなら、もう何も言うことはないけれども。

むかし『勇者ライディーン』や『コン・バトラーV』などの巨大ロボアニメを東映がアメリカに売り込みにいっていたとき、アメリカのTV会社は買いはしたものの脚本は書き直して放映したといいます。理由はドラマ作りが幼稚で子供だましだったから、とのこと。その受け取り方を額面通りに評価するほど馬鹿じゃありませんが、ハリウッドにおいてこんな逆転ドラマが演じられていると思うと、アメリカ映画界を憂わずにはいられません。

そういうオタク根性とは裏腹に、今回の敵の面白みがすでにシリーズもの特有の矮小化に染まった代物にまで貶められているのにもガックリです。およそ戦闘モノで敵のつまらない話ほど面白くない物語はありません。何であれ、期待を過度に抱くのは大抵裏切りを招いてしまう結果につながり、避けるに越したことはないんですが。話は逸れますが、『ダーリン・イン・ザ・フランキス』なるテレビシリーズ番組の放映時間に、この映画のCMがあるんですが、「ダリフラ好きは必ず観ろ」という謳い文句は、こんな共通点のない話にすら頼るのか、と茫然とする間抜けさだったことを付記しておきましょう。

蛇足。真剣佑くんがまともなセリフを話していたなら、自分ももう少しいい点をつけたかもしれませんが、まあこれからの役者ですからゆっくり見守ろう、とは思ってます。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)死ぬまでシネマ[*] シーチキン[*]

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