[コメント] 禁じられた遊び(1952/仏)
ポーレットの慰霊行為はまさしく「遊び」でしかなく、父母や愛犬よりも短いつきあいだったミシェルとともに為されたことが重要だったのだ。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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自分は、「ああ、動物たちの死体の慰霊がエスカレートしていって、しまいには…というのが主題なのだな」と思っていたのだが、これはホラー物の見過ぎだったようだ(苦笑)。
ポーレットは幼きに過ぎたから、父母や愛犬の死をリアルに感じとることができなかった。それよりはミシェルとの濃密な秘密の時間をともに費やせたことのほうがずっとリアルだったのだろう。だからこそ、ポーレットは彼との関係を引き裂かれた後でも「ミシェル」という名前のみに反応し、雑踏のなかに自ら姿を消すに至る。そういった意味では、たとえばこれは『母をたずねて三千里』などとは対局にあるトラジディなのだろう。ポーレットはひとりの人間としては未成熟で、重要なものが何か、が我々大人とは違ったところにあるのだから。言ってみれば、分身を喪失することによって、全ての今までの哀しみが喚起されたのかもしれない。
音楽がありふれ過ぎた悲劇の代名詞のようだから錯覚してしまうのかもしれないが、これで泣くというのは随分難しい事であるようにも思えるのだ。
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