[コメント] 夜を賭けて(2002/日=韓国)
迫真のチャブ台返し、不自然さのない日常のなかの歌舞音曲。力強さに満ちた闘争と寝食の毎日は、人間のもっとも赤裸々なカタチでの美しさを垣間見せてくれる。
舞台となる1958年。この頃の日本映画には喧嘩と折にふれ口ずさむ歌が付き物であった。しかしその当時の監督が稚拙なのか、俳優が大根揃いなのか、喧嘩と歌は常に唐突に始まり、違和感のうちに終わった。日本の、家庭を含むコミュニティの描き方は、このようにして俺の胸に刻み込まれたものと思う。
本作の在日部落には、そうした「俺の胸に刻み込まれた偽の原風景」というものが確実な生命力をもって復活したような感慨を覚えた。「アパッチ」と呼ばれる盗掘団を擁する朝鮮人街だけではない。ここにあるのは、日本が高度成長期のなかで走りつづけた裏に、つねに存在した荒っぽくも愛すべき陰の世界の人間模様であったように感ずる。
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