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[コメント] 宮澤賢治 −その愛−(1996/日)

テーマが‘賢治の愛’。愛と言うと妹への兄弟愛が有名で、それ以外の女関係、結婚の話を描くのか?という事になるが、彼には「性欲の乱費は自殺だ」という有名な言葉が有る。そう言い切られては、さすがの新藤も大いに困った事だろう。
KEI

**ネタバレ注意**
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更に彼は、「(性欲は)野原を駆ければいいべや」とも言う。私が中学の時の教師も同じ事を言っていた—運動場を走り回れ、と。昔も今も(たぶん)同じことを生徒は聞かされているのだろう。

妹への愛はプラトニックラブで間違いなかろう(賢治研究は膨大であり、当然誰かが指摘していると思う)。が賢治の名誉、存命縁故者に配慮したのか、それ以上のことは考えられないから勿論だが、プラトニックにおいてさえ、新藤の筆はおとなしい。

賢治を愛する2人の女の性格が真逆なのは、実話に基づくとはいうものの、新藤の手も入っているのではないか?

それにしても全体的に淡々として、エピソードの羅列に終わった感じがする。

愛はひょっとすると‘貧しい百姓への愛’かもしれない。あらすじの甲助一家の挿話が詳し過ぎる。これは何とも言えない。

そもそも副題に‘その愛’なんて、一般受けを狙ったとしか思えない。任された新藤こそ迷惑もので、さすがの新藤もこの羅列で精一杯だったと推測する。

ただ観賞して、思っていた以上に、彼が純真で頑固なほど真面目な人間だったのではないかと今までの認識を改めた。これが1つの収穫だった。3.5点。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)寒山拾得[*]

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