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[コメント] ワンダー・ボーイズ(2000/米)

時代から取り残された、或いはつまはじきにされた男達への賛歌。
Kavalier

主人公3人は、ワンダーボーイ(寵児)でありながらも、苦境にある日々。

マイケル・ダグラス演じる、完結する見込みのない小説を書き続けるグラディは、年齢そしてクサをやっていることからも、ヒッピー的なものを引きずり続けている。

ロバート・ダウニーJr.演じる、クラブツリーは、80年代バブルの時代ままに行動し、その時代の威光からら抜け出せない日々。

トビー・マグワイヤ演じる、ジェームズは、素晴らしい文学的才能を持ちながらも、そのエキセントリックで虚言癖な性格から友人・教師からも認められない。

自ら袋小路にはまり込みながらも、そこから這い出せないでいる彼ら。

ピッツバーグの冬の寒空の中での混乱の3日間に放り出された彼らの、過去から脱却と再出発が、ゴシックホラーのように格調ある絵作りでの撮影とコメディ仕立ての演出によってべったりとした感傷あふれた物にならず、彼らから一歩引いて描かれているスマートさ。

そして、様々な脇役、脇のエピソード、小物を通して、3人のあり方、これからを暗示していく脚本、上手い!

出て行った妻、モンローとディマジオのエピソード、モンローのジャケット、Etc…。

過去の呪縛から逃れたグラディが深夜にやけっぱちで、妊娠している愛人の夫の上司に電話をかけるシーンには滑稽さと楽しさと心地よさが、旅立つ教え子のジェイムズに叫ぶ言葉「敬礼しろ!」ここで胸が詰まって、その後のさらりと流して終わるエピローグに映画のテーマに見事に合致したデュランのテーマ曲と共にスタッフロールに気分は晴れ晴れ。

混乱の果てに、失う物と新しく得る物。

全員軽妙な演技を見せる役者人の素晴らしさ、挿入歌とスコアの使った音楽演出の気持ち良さも忘れがたい。

(評価:★5)

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