この作品はヒドく資金不足であるのは仕方がないにしても準備不足でもあるように思う。劇中の悪魔となんとかという曲はさておいて曲の完成度が低い。低いというかヘタでもいいけどハートに響いてくるような曲が全くない。

特に3人編成になって初めてステージで唄った歌なんか「なんだありゃ？」といった感じ。シーンとしてはヤマ場でしかもいいシーンのハズなのにここでもってくる曲を映画の製作段階で真剣に作らなかったのは製作者側の落ち度。「まぁ曲は特に真剣に作らなくてもココはなんとなくそれらしい雰囲気が出てればそれでいい」的なノリが感じられて最悪。

「ロックとは何か？」と居酒屋で談義するシーンは共感できて好きなシーンであったけれど、その後に彼らが生み出す音は見ている観客に（特にロック好きの人）“音”を聴いて「確かにあの音はあれでロックだよな」と説得するだけの音も日本のフォークソングに見られるような“熱いメッセージ”も何もなかった。

どうせテキトーに作るならもっとボブディランの曲をパクったようなインスパイアしたような曲にした方がまだマシだったのかも知れない。

その上、麻生久美子の役が「何この登場人物、こんな人ホントにいるの？」と思うほど無機質で全く人間味がなくアンドロイドかと思うぐらいどうでもいい感じだった。もちろん麻生久美子はただセリフを言っているだけで特に演技をしてはいなかったのだけれど。