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[コメント] 狩人(1977/仏=独=ギリシャ)

傑作。文句のない傑作。『旅芸人の記録』と比べても甲乙つけがたい。総てのカットに驚きがある。それは大げさな表現ではなく、掛け値なしに総てのカットで、です。
ゑぎ

 ファーストカット、雪の中の狩人たちがいきなり狼狽してあたりを見回すフルショットの場面。まるで画面外から弓矢でも飛んできそうな緊張感があり、私はまたぞろ「あゝ西部劇だ」と思う。中盤、デモ行進と対峙する男たちが、街中の道を音楽に合わせてクルリクルリと回転しながら歩いて来、最終的に道でデモ隊を待ち受けるカットがあるが、こゝも完全に西部劇を想起させる画面(構図)だ。このような活劇性のきらめきが随所に見られる。そして総てのカットで、カットの途中で異物が出現し、異なる感情、不穏な空気が定着し始めるのだ。これにより、全てのカットにおいて当初予期しない複数の感情が立ち上がる。シーケンス・ショットの最高例がこゝにはある。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)袋のうさぎ disjunctive[*] 赤い戦車[*]

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