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[コメント] ブンミおじさんの森(2010/タイ=英=仏=独=スペイン=オランダ)

幽霊や精霊が普通に日常生活の中に存在し、人々も少し驚くだけで、それほど驚かない、ということが面白い。これが最初に描かれる、ブンミの家での夕食のシーンの演出、表現力に、我々は驚かされる。
ゑぎ

 さらに、リアルな人も、幽体離脱のように、ドッペルゲンガーのように、或いは生き霊のように分身が登場したりするのだが、何の理屈も語られない、というのがいい。 中盤の、森を行く輿(籠)の中の女と、轅(ながえ)を持つ男との描写から、続く滝のある川辺の場面と、女が川へ入って鯰との交感が描かれるシーンが一番謎なのだが、しかし、カメラが水中へ入ってから、水泡で画面を満たす造型には驚嘆する。

 「未来に行った」というナレーションがあり、こゝだけ兵士達等のスチール写真を繋ぐ部分は、多分茶目っ気なのだろうが(ゴダールっぽいというか)、少々盛り込み過ぎに感じる。

 ラストの、ジェンおばさんと女の子がいるホテルの一室のシーケンスもとても緊張感があっていい。トンがやってきて、シャワーを浴びるシーンの、ただならぬ不穏さ。この後、ジェンおばさんとトンが立ち寄ったレストラン?でのBGMも、とてもいい。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)3819695[*] ぽんしゅう[*]

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