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[コメント] イメージの本(2018/スイス=仏)

色の氾濫とネガ反転のようなハイコントラストのエフェクト。いくらなんでもソースをいじり過ぎだろうと思わせる、だが、もう慣れた感もある、近作のゴダールのスタイルだ。
ゑぎ

 本作で、驚くというほどでもないが、目を引いたのは、同一カット内でアスペクト比を変更する試みで、画面が縦に伸びたり縮んだり、というのを何度もやる。まるで入力信号によって画面サイズが自動で切り替わるプロジェクターかディスプレイを模したような、これも一種の彼らしいジョークなのだろう。

#引用されるフィルムで印象に残ったものを思いつくまゝ備忘で記載します。『大砂塵』のクロフォードは比較的そのままの画質。ジャック・ターナー『ベルリン特急』。列車をホーム側から横移動して見せる。『小さな兵隊』のカリーナ。可愛いドレスで夜の街中に出るシーン。ロッセリーニの『戦火のかなた』の捕縛者を水の中へ突き落とす場面。バーグマンが燃えるイメージはロッセリーニのジャンヌ・ダルク映画か。『』のジェルソミーナとザンパノ。『雨月物語』で水戸光子が野武士数人に囲まれる場面。『戦争と平和』の映像はソ連版か、仏版か?原爆実験の記録映像と『キッスで殺せ』のラストシーン。『若き日のリンカン』のフォンダ。『ソドムの市』の四つん這いの人々。海辺のシーンのケバケバしい原色の色遣い。これは本作オリジナル部分か?

 エンディングは『快楽』のダンスシーン。『快楽』はギャバンが汽車を追いかける移動ショットも引用されていた。しかし、ラストの踊りまくっていた男が倒れる部分は、とても落ち着きの良いエンディングだ。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)けにろん[*] 赤い戦車

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