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[コメント] アネット(2021/仏=独=ベルギー=日)

相変わらず力のある映画だし、同時に細部の愛くるしい魅力も溢れているのだが、冒頭、カラックスが「May we start?」と云い、スパークスが唄い出すオープニング、スタジオから延々と後退移動で見せるシーケンスショットが一番興奮した。
ゑぎ

 私としては、以降、この冒頭を超える興奮に出会わなかったのが、ちょっと寂しい。勿論、マリオン・コティヤールの見せ場も多々あるし(例えば、なかなか際どい濡れ場が2回ある)、アダム・ドライヴァーのショウも大したもんだと思う。こちらも2回あるが、2回目の、くすぐり殺す場面を一人芝居でやるドライヴァーには素直に凄いと思った。あるいは、幼いアネットの見せ方が実に可愛らしい。

 ただし、船上のダンスは、もっとスペクタクルかと期待していた。こゝはポスターやトレイラーのイメージが良く出来ていて、期待(妄想)が膨らみ過ぎていたのだ。あと、全体に歌の数が多過ぎないか。三分の一ぐらい減らして(例えば、伴奏者・指揮者のサイモン・ヘルバーグのパートなど)、2時間を切る尺ぐらいで丁度良かったのではないかと感じた。

 とは云え、もっとも感動的な歌唱場面は、刑務所でのアネット面会シーンのデュエットだと思った。ちゃんと終盤は盛り上がるのだ。さらに、エンドロールの途中で、主要キャストが提灯を持って歩きながら唄う(カラックスと娘ナスティアもいる)大俯瞰への上昇移動カットを持って来る。これにも、やっぱり満足感が高められる。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ぽんしゅう[*]

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