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[コメント] ピクニック(1936/仏)

本作を見てまず誰もが驚くことになるのが、冒頭の、カフェの男二人が窓を開け放つ場面だろう。四角い窓で切り取られた向こうに、庭でブランコ遊びをする女が縦構図で出現し、目に飛び込んでくる。それはまさに目に飛び込んでくる、という表現がぴったりの衝撃だ。
ゑぎ

 『市民ケーン』の雪降る山小屋、その窓と屋外で遊ぶ少年のカット以上の縦構図演出がこゝにはある。ブランコをするシルヴィア・バタイユの映し方もいい。このカットはフォード『四人の息子』(1928)のジューン・コリアのブランコシーンを想い起した。あゝなんという幸福だろう。そしてその後のピクニックシーンの自由かつ官能的な演出。キスをするカットが唐突にクローズ・アップで切り取られ、キスの後のバタイユの顔にディゾルブする繋ぎは冒頭の窓を開け放つカットと同じレベルの衝撃だ。続いて、風が吹き始め、川面の雨でもって時間をジャンプする繋ぎの潔さも素晴らしい。この繋ぎは本来の構想とは異なるのかも知れないが、現存する40分版の美点の一つだと云い切りたい。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)YO--CHAN 寒山拾得[*] 動物園のクマ[*]

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