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[コメント] 雨あがる(1999/日)

滑らかですばやい動き、派手ではないが緊張感あふれる、まさに空気をピンとはりつめさせるような殺陣。素振りだけで、剣豪というより剣の達人と感じさせた寺尾聰が素晴らしい。
シーチキン

黒澤明は、この映画を見終わって晴れ晴れとした感じになる映画にと言い残していたらしいが、その言葉にたがわぬ、すがすがしいラストだった。特にこのラストは、風景と役者とストーリーが上手く溶け合って、爽快であった。

それに寺尾聰の殺陣が出色。三船敏郎のような豪快さとは違った、居合いからの素振りは、美しさを感じた。素振りだけでこれほど魅せられたことはかつてない。このシーンだけでも私は十分堪能できました。

その上で最後に敢えて書き記したいことが一つ。この映画の製作は1999年。黒澤明は、1993年に『まあだだよ』を公開して、1998年に没している。死ななきゃ、映画にならない、というのは今の日本映画界にとって致命的なことではないだろうか。

(評価:★5)

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