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[コメント] レッド・プラネット(2000/豪=米)

スペースオペラ全盛の中、かえって新鮮に感じられる正統派SF。人間ドラマとしてもそこそこ見応えがあった。キャリー・アン・モスが、美しく、たくましく、頼れる感じだったので1点追加。
シーチキン

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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SFとは何だろうか?私の愛読するSF界の大御所アイザック・アシモフは、SFが他の分野のフィクションと異なるのは、その時々の科学水準の発展にたって、その科学法則にもとづいた展開をすることが不可欠であり、その上で、そういう科学の要請に目をつぶるファクターが一つか二つあるフィクションであることだ、と述べていた。(違ってたらゴメン)

別にこのSF観を振りかざすものではないが、それでも細部にこだわって、こだわって、現在から予測できる未来をよりリアルに示す、という点で成功した作品だった。例えば劇中登場する宇宙服は、機能性を追求したものだし、彼らが使うコンピューターのインターフェイスは透明なシールド状のタッチ操作式となっている。これらは「2050年」という時がくれば、実際にわれわれの身近にあるものかもしれない。

またメンバーを襲うロボットも、アイディアは使い古されたものだが、このロボットも本来はアメリカ海兵隊所有の借り物で、もともとは軍事用、つまり偵察行動、戦闘行動のために造られたもの。それを火星での探査活動に使うために借りたが、アクシデントによって、偵察モードから戦闘モードに切り替わってしまう。そしてその戦闘モードとは、対ゲリラ殲滅戦用で、彼らはゲリラとみなされてロボットから攻撃されるのである。

こういう妙なリアルさが感じられるのが、いかにもSFらしい。おまけに、1997年に話題になったNASAの無人火星探査車が登場したり、会話の中でロシアの惑星探査機の設計者が、「惣菜や」に転身していたりと、一部の天文ファンをにやりとさせるネタが、また楽しい。

そういう点では、『ミクロの決死圏』などに連なる、今日のSF映画の代表作と言ってよいと思う。

(評価:★5)

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