[コメント] 大いなる幻影(1937/仏)
映画を見終った人むけのレビューです。
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★6!これは素晴らしい映画だ!
なんといってもピエール・フレネーとエリッヒ・フォン・シュトロハイム! 特にゼラニウムの花の前での会話とピエール・フレネーとの最期の会話のシーン。 国が戦争していようが自分の役職が何であろうがその前に自分は貴族であるということ、それを最大のアイデンティティとして生きることがこれほどに美しいのか。美しくそして儚い二人の貴族の関係に体の震えが止まらず、涙が零れそうになった。
また構成も素晴らしい。全体として一貫した平和への姿勢が現れている。この点についてはいろいろと書籍も出ていることだから割愛。
ジャック・ベッケルの熱演・男ばかりの捕虜収容所で女装することが他の捕虜たちに与える衝撃・エリッヒ・フォン・シュトロハイムのカッコいい飲み方も見逃せない。
最後に「大いなる幻影とは何だったのか」については今まで様々な議論があったが、私の意見はスタンダードに「大いなる幻影とは平和のことだ」ということになる。そしてジャン・ギャバンとマルセル・ダリオが追跡をかわしスイスへ逃げ込むシーンでラストを迎える点から、ルノワールは平和を大いなる幻影と呼びながらもその幻影が現実のものとなることへの希望を捨てていないのだと解釈した。ただ、それは私自身その希望を捨てていないことに他ならないのだが。
以上、この映画は素晴らしいと言ってきたが、のっけからそう思ったというわけでもなく、その点について少々。 初めのフランス軍営のシーンからドイツ軍営のシーンはボーっとしてるとついつい置いていかれちゃうほどスピーディな展開。 ここで置いていかれちゃうと話の印象が薄れちゃうので要注意。かくいう私も置いていかれてしまいました。
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