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[コメント] デイブレイカー(2009/豪=米)

ヴァンパイアが人間を「飼う」という設定には惹かれるものがあったが、どう落とすかという点において自信がないように見えた。
Master

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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新機軸のヴァンパイア作品として評価するにはやぶさかではない。ただ、人間側にもヴァンパイア側にも寄る事なく、「その場」を解決させるにとどめる形でのオチに向かってしまったため、もやっとした鑑賞感を残す作品になってしまっている。

このエンディングにストーリー上の矛盾があるという事ではないが、飢えたヴァンパイアが大量にいる世界に人間3人が取り残される事になってしまい、現実的にこの後の世界は展望が見えないという状況で終わっているのはあまり良いエンディングとは思えない。あの後、あの3人はどうするつもりなのか。「治す」という話をしていたが、会うヴァンパイアそれぞれに「焼き入れ」を繰り返す気なのか。「人間復帰組」の血液を摂取させるにしても、ラストのあの描写からして「順番を待って適量を摂取する」などというマナーの良い状況になるとは思えない。にもかかわらず、どことなく希望を持った終わりのようにしているのはおかしいと思う。また、代用血液が完成したと台詞で言わせたのも問題である。ヴァンパイアでいることが危険でなくなってしまった事になってしまい、「それなら不老不死大歓迎!」というヴァンパイアの出現を想定せざるを得なくなる。

ここは、代用血液完成直前の実験室に乗り込んで、元同僚とのやり取りの果てに全てを破壊。社長と弟の血液を摂取して人間に復帰した人々をまとめて他のヴァンパイアを「治療」していく事を示唆するエンディングの方がすっきりしたようには思う。本作のエンディングのすっきりしなさの一因には弟が実質「犬死」という事もある。

後はサブサイダーの役割も消化不良。「三竦み」の関係にするのも良し、人間とヴァンパイアの共通敵にするも良し、余地のあるキャラクターと感じただけに、社長の娘を焼き殺すためだけの設定のようにも感じられ残念だった。

マトリックス』ばりの「人間工場」とか見所にもなりうるシーンもあるだけに、惜しいと感じた。

(2010.11.27 横浜ブルク13)

(評価:★3)

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