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[コメント] 軽蔑(2011/日)

そりゃ世界はこの二人愛さないでしょうよ。
Master

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







原作未読です。

冒頭、ポールダンスの一連のシーンで嫌な予感が走る。鈴木杏が頑張っているのは間違いないが、『劇場版神聖かまってちゃん』で森下くるみが演じたポールダンスシーンと比較しても彼女がポールダンサーであるということにあまりにも説得力がない。また、楽屋でのトークも外国人のポールダンサーは常に英語、真知子(鈴木杏)は日本語。それで意思疎通が図れるのならそもそもなぜ話す言葉を変えているのか理解に苦しむ。真知子にブロークンイングリッシュを喋らせるのが妥当ではないのか。話の構成という点について舐めているのではないかという疑念がどうしても離れない。

また、二宮一彦(高良健吾)の方も問題で「どうしようもないクズではあるが、どこか魅力的」というキャラ造形になっていない。不憫というかかわいそうという感情すら湧かない。因果応報という言葉がふさわしくなっている。これは本作の設定からすると良くないのではないか。

あとは、基本的に役者の頑張りは分かるけども、そもそもの素材が悪いという所と演出が一本調子もしくはワンパターンで単純に不満を覚えるシーンがほとんど。素材が悪いという点に関しては、本作は個人的にあえて悪く言うが「多少情が移ったセフレ同士のおままごと」にしか見えない。そんな話に入り込めという方が無理である。演出面で言えば、何回手持ちカメラで回りながら撮る方法を繰り返せば気が済むのか。ポイントポイントでこの方法が出てくるので、途中からうんざりする。

若干くさしたが、高良健吾にしろ前述の鈴木杏にしろ、二人の気合・熱の入りようは良く伝わってくる。それがかえって本作の残念度合いを増している結果になっている。この結果を招いた廣木隆一監督は大いに反省すべき。自分の能力に対し荷が勝ちすぎていると思ったらすっぱり断る勇気も必要である。悪人が主人公でも面白い話は出来るはずであるし、共感できない主人公でも観客が入り込める話は作れるはずである。ただただ不愉快でどうでもいい作品になってしまった事は、やはり残念である。

(2011.06.04 tohoシネマズ川崎)

(評価:★2)

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