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[コメント] 野いちご(1957/スウェーデン)

登場人物が多い場面のほうが断然画面が生き生きしており、また単純に面白い。夢の中の食卓や事故夫婦が乗り込んで七人乗りになった車内。屋外の照明はやや飛ばしすぎか。物語自体は明快だが、冒頭の夢の不吉さを通奏低音とし、それをもって映画全体に含みを与えている。
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老人が自身の人生を見つめ直すという物語においては、その「見つめ直す」という作業に若者の登場が大きく関わってくるのは常套である。それは物語が「老人」と「若者」という単純な構図・浅薄な世代論に収束してしまう危険も孕んでいるが、ここでは老人ヴィクトル・シェストレムの母親という更なる老人を登場させるなどしてそれを回避している。そのあたりの作劇も実に巧み。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)緑雨[*] けにろん[*]

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