昭和39年生まれの自分にとって「スパイ大作戦」とか「宇宙大作戦」と言ったフジテレビの深夜枠にやってる海外ドラマは、「兄貴が面白いと言ってるんだから面白いんだろうな」てな感じで漠然ととらえていただけで、実際まじめに通して見たことは一度もない。

だから、今回の映画を見るに当たって、Mr.スポックの外見以外はほとんど予備知識無く見たのだが、最初から最後まで徹底的に楽しめた。

カークの誕生から成長、スポックとの出会いまでを、ものの見事にダイジェストで描き、波乱の物語の末に生まれたカークとスポックの最強タッグを軸に「エンタープライズ号」というチームが結成されるまでを、すごいスピード感でつづりながらも家族や友情といった情緒的な部分をしっかり描ききっていて、原作未見でも誰もが楽しめる映画に仕上がっていると思う。

この映画も最近のSF映画の例に漏れず、超絶CGを多用した大迫力映像満載である。しかし、同様にCG技術の粋を凝らして同時期に公開された『ターミネーター４』と比べて圧倒的に物語が面白いのは、その根底に「友情、努力、勝利」といった、きわめてベタな少年ジャンプ的気分が横たわっているからだろう。登場人物達の行動原理は、家族や仲間への強い想いであり、先祖からの継承といった人類共通の感情だ。だから、恐らくこの映画からCGを全部取り払っても、十分面白いと思えるはずだ。

最近なにかと疲れることが多かった自分には、この熱い登場人物の姿がとてもうれしかった。

今のところ2009年最大のオススメ映画である。

ところで、オリジナルの「スタートレック」は、宇宙船内のよもやま話を描いた室内劇だったと思うのだが、新作シリーズはこんなに活劇的に面白くていいのだろうか？ま、私は別にいいけど。