[コメント] インランド・エンパイア(2006/米＝ポーランド＝仏)
リンチはデジタルビデオの質感ととても相性が良い監督なのだろう。リンチ的アップにしてもフラッシュにしてもDVの殺伐とした映像によって酩酊感が増幅されている。次のシーンで、というか次のカットで何が起こるかサッパリ分からない、という緊張を2時間も味わわせてくれるのだから大したものだ。終盤の辻褄合わせがむしろ邪魔とさえ感じる程楽しめた。
また、リンチ自身が撮影を担当したこともプラスに働いているように思われる。私にとってこの不安定な視点は、寝ている間に遭遇する悪夢とそっくりなのである。これには少なくない人数の方が同意するのではないかと考えているが、そこまで計算ずくだったとしたら、やはりこの監督とDVとの相性は素晴らしいといえるだろう。
リンチとデジタル映像の相性の良さは、彼が2010年に発表したマリオン・コティヤール主演の短編“Lady Blue Shanghai”でも伺えます。ttp://youtu.be/ZPAO4k_Wstk
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