[コメント] ソーシャル・ネットワーク(2010/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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この映画の失敗している点は、まるでB級映画のようなタイトルをつけてしまい、そのような宣伝をしてしまったことだ。しっかりとした人間対比の構成のもとで、あくまで"フェイスブック創設者"というのは題材であるので、映画としては決してB級ではない。
日本語訳が追いつかなくなりセリフの尺と訳の量が異なってしまってる程、主人公の話すスピードが早い。それにつられるかのように、映画の展開も早く、まるで「この情報化社会ではこのくらいのスピードを出さないと置いていかれるよ」というようなメッセージが込められている。 何よりもこの映画は脚本がいい。そしてそれを見事に映像化したデヴィット・フィンチャーの手腕も見事だ。
テーマは"現代人間の対比"と思われる。 主人公ザッカーバーグ(ジェシー・アイゼンバーグ)の複雑な心情を描いているわけでもなく、複雑な心情になっているのは周り(サベリンやエリカ、ウィンクルボス兄弟)だけ。地位と名誉を求め探求する主人公に対し、人間味溢れるサベリンやエリカ。 ほとんどの場面で主人公が周りの人間と接するのに悩むという表現がなく、ついてこれない者は容赦なく置いていくという無機質な主人公の描写であったが、冒頭のエリカとの破局だけはザッカーバーグが"捨てられた"。その後も散々軽蔑されたが、ラストシーンでフェイスブックで本人のアカウントを見つけ、送信/更新。"人間らしさ"を少し得た瞬間だった。 このラストシーンのおかげで、それまでのフェイスブック創設で無くした人間関係を糧に、主人公が成長できた明確な場面だった。
ここまで主人公の悪い部分が表現されているのに、主人公に対して嫌悪感を持たせないところが、この映画の良いところであり不思議なところ。
フェイスブックへの知識がないのが残念という感想を見かけるが、それもそうなのだが、もっと残念なのは選ばれたものだけが入会できる「クラブ」なるものの知識が全くないことだ。多分そうした知識がないために理解出来ない場面もいくつかあるのでは?と思う。
エンドロール時に「事実をもとに脚色している」ような表現があったので、どこまでが本当なのかはわからないが、今のこの時点でフェイスブックに携わった人の承諾を得て映画化にとりつけたのには驚く。これもスピード化、情報化社会の現れだとも言える。
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最後に、、 前哨戦となるゴールデングローブ賞で四冠獲得。 しかしアカデミー賞ではどうなるだろうか、今これを書いてる時点(2011/1/24)ではわからないが、私は少なくとも作品賞は逃すのではないかと思っている。(ただ感覚的に)
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