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[コメント] ジュディ 虹の彼方に(2019/米)

生涯を綴ったストーリーという点ではぼちぼちなのだけど、レネーの好演とラストシーンの素晴らしさで評価4にはしておこうかな。
deenity

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レネー・ゼルウィガーがアカデミー賞主演女優賞を受賞し、話題になった本作。『オズの魔法使い』でお馴染みのジュディ・ガーランドの生涯を描いた伝記映画ですね。

個人的には『ブリジット・ジョーンズ』のイメージしかありませんでしたが、素晴らしい演技でしたね。そしてそれと同時に素晴らしい役作りでした。今までの愛嬌のある体型のイメージとかは一変されるほどの痩せ細った姿。あのどことなく落ち着かない挙動とか微妙に前屈みになっているような猫背とか、そんなイメージがレネーにはなかったものですからそれを表現しようとしたのなら見事としか言いようがありませんね。ここ最近の似たような作品だと『ボヘミアン・ラプソディ』のラミ・マレックとかが思い浮かびますが、彼も素晴らしい作り込み方でしたが、レネーの場合は顔が似てるとかとは違った寄せ方をしていて、憑依しているような感じすらありました。

演技は言わずもがな素晴らしいですが、作品は伝記映画にはどうしてもありがちな盛り上がり所には欠けた作りになっていて、それこそ『ボヘミアン・ラプソディ』なんかで言えばQueenの名曲使っていればそれだけで上がるわけですが、正直ジュディの曲って正直「Over the rainbow」以外知らないんですよね。だから彼女の歌唱力は確かに圧巻で、長回しの感じとか惹きつけられたりするんですけど、そもそもの力不足感は否めなかったりもしました。

その一方でジュディの生涯ってもっと過酷なものだったということも聞いてますし、そっちで引っ張ってもよかったのかなとは思います。昨今のLGBT的な視点で描くのもありですし、本作で描かれている輝いていた当時の苦悩の日々をもっと全面に押し出すのもありだったようにも思います。まあ体型維持のための食事制限とか睡眠時間もろくに確保せずに薬漬けとか十分すごいんですけどね。なんかどことなくあっさりした見せ方だった気はします。

ただ内容としての魅力はさることながら、本作の最大の魅力はやはりレネーの演技。一つ一つの挙手挙動が素晴らしいのは言わずもがなですが、最大の見せ場は彼女の歌唱力だと思います。 レネーの歌があれほど素晴らしいとは知りませんでしたが、何がいいって絶妙に落ち目に差しかかっても尚、人を惹きつける歌を披露し、かと思えば「ああ、もうピークは過ぎてしまったのだな」と感じさせるような切なさも醸し出すさじ加減が絶妙でしたね。

本音を言えばやはり名曲「Over the rainbow」はしっかりと聴いたかったという思いもありますが、ある意味では最大の用い方であるようにも思いました。 彼女が生涯求めてきたもの。なぜどれだけ苦しくてもステージに立ち続けたか。なぜ結果的にダメになっても、何度も結婚を繰り返したか。子どもたちへの思いやステージ上での行動。誰かに必要とされるために、愛されるために彼女は生きてきたのだと。自業自得でもあるけれど、彼女がステージに立って求めたもの。それを最後に最高の表現で感じさせてくれた。オチとしては最高の締めくくりだったと思いました。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ジェリー[*] ぽんしゅう[*]

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