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[コメント] 悪童日記(2013/独=ハンガリー)

過激な言葉が充満した、ゴダールの見え隠れする作品。どうせならテロップで画面を覆うぐらいのことをしてもいいのではなかったか。
寒山

**ネタバレ注意**
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ポーランドはつくづく無茶された国だと思う。戦争へ過剰反応する少年ふたりという主題は、実写化により情の世界が漂ってきており(特にお婆さんの造形)、それは原作にはないものだが、とても魅力的に撮られている。

本作はゴダールの手法が漠然と引用されているように感じられる。例えば「身体を鍛える訓練」と双子が殴り合いをする件、この奇矯さは相当なもので(深刻な音楽はある種邪魔)、私など『中国女』のマオマオ体操を想起せずにおれなかった。悪童ふたりが姉と呼ぶ娘が林のなかを進むカットは『パッション』のイザベル・ユベール激似だし、背景の壁の極彩色や即物的な空もゴダールのものだろう。

これほど言葉の立った原作なのだ、どうせならテロップで画面を覆い、フレーズをネオンで明滅させるぐらいのことをしても良かったのではないか。ゴダールは有名過ぎて、その方法がワン&オンリーになってしまっているのはとても惜しいし、神棚に祭るのは不毛と思う。アゴタ・クリストフは敵性語(!)であるフランス語で本作を書いたと云われる。この原作に対峙するにはもっと過激な方法が求められたのではないか。

あと、尺が短い。アンゲロプロスとか『ショアー』とか、この切り口の作品は長尺で観慣れているせいもあるのだろうけど、もっとたっぷり観せてほしかった。何か無い物ねだりばかりになったけど、でもいい作品。繊細な描写は好感度大。雪の積もった坂道を遊びで背中から滑り落りる件など、文化の違いが見えて面白い。続編は作られないのだろうか。

(評価:★4)

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