[コメント] イノセンス(2004/日)
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本作品内でのネットワークは格段の進歩を遂げていて、遠隔地にいる刑事達とホログラフィーを介してミーティングを行ったり、遠隔地にいる敵ハッカーが電脳的に捜査妨害を仕掛けたり...しているわけなんですけど、これって空間的制約が一切ないわけで、作劇的には逆に苦労したのでは...と思いました。
電脳的にすべて物事が進んで解決可能だと、ふたりの刑事が自らの足を使う理由がないという感じ...。空間的移動をしなくてもいいのでは...と思わせるところに少し作劇的な難しさを感じました。ネット社会を、劇中でどこまで描くか、このあたりの匙加減は相当難しかったのでは...と思いました。
やや派手に作られた銃撃シーンはネット描写とは正反対のことをして物理的な肉体アクションを大きく描いて、作劇的にバランスを取ろうとした表れでは...(『マトリックス』でカンフー・アクションが大きく描かれていたように)と思いました。
序盤のヤクザ事務所に殴り込みをかけるやや古風なシーンがあるのも、幾ら電脳的に発達を遂げていたとしてもそれですべて解決するわけには出来ず、最終的には人間が赴いて激しく対峙し解決を見るシーンを描いておかなければ、後半の船への侵入シーンが成り立たなかったからなのでは...と思いました。(というのは電脳的にすべて物事が進むと、ネット上から企業船を制御すればいいのでは...と思わせる危惧があったので。)
ですが、全体的には、ホログラフィー、アンドロイド...ハイテクな部分と、ドッグ・フードを扱っているコンビニの描写、バドーのライフルが現行ライフルと大差ない点(なので残弾によるサスペンス構築が出来た。※残弾が残り少なくなったので、単発射撃に切り替えた判断は人間味があって良かった。)などのアナログな部分の混じり具合は、かなり良かったと思います。
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