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[コメント] 非情の罠(1955/米)

成る程、この作品でキューブリックはアパートの裏窓から世に飛び出した訳か。妖しげに揺れるマネキンの手首に誘われて。
のぶれば

マネキンの部屋は「時計仕掛けのオレンジ」に、斧は「シャイニング」に、待ち合わせのズレは「現金に体を張れ!」に、身勝手な女は、男に変わって「アイズ・ワイド・シャット」に……なんて、キューブリックのファンなら、後年の作品にこじつけたくなってしまうところか?

彼の作品でなければ、果たして観たかどうかも妖しいのだが、それでもマネキンの部屋でのシーンは、「おっ!」と息を呑んでしまうのだ。平凡な作品のようでも、やはりこう言うシーンが在ると、「さすがはキューブリック、なにがしか一線を画したものがある」と感じてしまう。単なるひいき目なのかも知れないが、後年の彼の作品を観た者には、そういう観方になるのも、仕方無いだろう。

それにしても、ヒッチコックの「裏窓(1954)」の後、1955年にこの作品が出たことを考えれば、やはり幾ら孤高の巨匠と言えども、他の作品に大きく影響を受けた時代があったのだな、と妙な安心を感じてしまった。キューブリック作品で、これほど他の監督の姿がちらつく作品は珍しいと思い候。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)きわ[*] ジェリー[*] RED DANCER[*] ゑぎ

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