[コメント] パッチギ!(2004/日)
チョン、チョッパリとメディアでタブー視されている言葉が行きかううち、心に秘めた民族感情とともに心が露にされる。そこでベタな展開が訪れるので、思った以上の感動を受ける。パッチギし合うだけで得られる10代の不思議な開放感のようだ。060707
差別心を煽る露悪趣味のような、冒頭の学生達の暴力描写には正直辟易とした。そして、日本人としての民族心をやたらと刺激され、心の奥にしまっていた在日朝鮮・韓国人に対する悪意が首をもたげる不快感。こんな調子で差別心を丸出しにしちゃう程度に、序盤ですっかり心の壁がとり払われて感覚が敏感になってしまっていた。
ここまで感情が露になれば、何だかもう箸が転げても笑うかのように、登場人物達の感情に共振して感動してしまって、安っぽい昼ドラマのような終盤の怒涛の展開にもついつい身を委ねてしまう。
シンプルな「彼女を思う心」の欲求に従い、最初は偶然ながら、朝鮮学校や朝鮮コミュニティにどんどん入っていく主人公の体験は、日本社会とは異なる関係性の中で感じられる新鮮な感情を日本人にもたらす。相手の懐から相手の視点で物事を考えることで、ようやく目の前に日本人と朝鮮人の間に横たわる「イムジン川」が見えるようにもなる。
若者の暴力の刹那など、題材や展開は、井筒監督の出世作『ガキ帝国』とほぼ同じ(ホープ会も再登場!)だが、歌謡曲と恋愛という娯楽の王道をベタベタに展開することで、監督の作家性を絡めながらも、自腹で金を出す者にもきちんと満足できる娯楽作品に仕上がっている。ようやく『ガキ帝国』を超えたようだ。
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