この作品、いろんな要素が凝縮されている。イギリスの社会情勢、階級別特徴、男女の性差、大人の性・子供の性、家族問題、etc。それら多くの要素をなぞるストーリー展開だけのスピードまかせな映画かと思いきや、そこかしこに上手い「象徴的小道具・描写・演出」を画面に添えていて、非常に丁寧な作品に仕上がっている。多少、表現主義的イメージを多用しすぎるきらいもあるが、鼻につくこともなく、むしろ上品な雰囲気をも醸し出している。そして、上品ではあるが、音楽にロックを持ってくる当たりに従来の上品な文芸作品とは異なる印象を与える。こんなに要素が詰まっていると、もはや文句のつけようが無い。