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[コメント] 雨月物語(1953/日)

極東の神秘の国、ジャポン。それは妖怪の棲む国だったのだ。

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







モノクロームの濃淡で映し出される画面に、オリエンタリズムが濃厚に立ち込める。でも、そこにこの映画がこの映画足る命が宿ってもいる。

若狭とその乳母の死霊、やはり怖い、というかコワ気持好い。障子に映る影。暗やみにボウッと浮かぶシルエット。闇の中に浮かぶ白い顔。また、琵琶湖の墨を流した湖面と白い霧も忘れ難い。“極東の神秘の国”というような西欧的な日本のイメージを意図的に反復したものであったとしても、映画としてこれを具現させた力は凄い。滑り込んでくるようなパンから始まり、揺らめくようなモーションを見せながら、ラストで昇天していくキャメラも印象的。

二つの女性の類型が描かれている。若狭は男を挑発する魔性の女。宮木は夫に尽くす良妻賢母。でもどちらも男のエゴといい加減さに裏切られる。死んでも夫の側に居着いているらしい宮木が何気に怖い。

97分という尺は、今観るとずいぶんコンパクト。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (5 人)irodori けにろん[*] ちわわ[*] * ハム[*]

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