ネタ自体は既に使い回されているのだから、作り手としては腕の見せ所だったと思う。そして存分にその手腕を拝見いたしました（笑）

まず主人公の人物。極寒の山中を踏破し、多数のテロリスト相手に戦いを挑むわけですから、そのモチベーションや人物像をきちんと描かないと既に終わってる。織田裕二はプロモ番組で原作とは違って、主人公は普通のあんちゃんを想定したと言っていた。これは非常に大胆！「ダイハード」だって主人公は警官だったんだよ。まあいい。じゃあ普通のあんちゃんがそこまで過酷な状況に身を投じる、それを描いていただきましょう（原作の設定でも了解可能ではあるし）。が、しかし！冒頭および途中で挿入される肝腎の場面は気の毒なくらい説得力がない。おかげで主人公の人物像がリアリティを欠き、映画の軸が失われてしまった。

更に致命的なのは、雪のシーンがしょぼいこと。観ていてちっとも寒くなんない（ロケはちゃんとしたのだろうが。。。。）。ホワイトアウトも全然怖さが伝わらず、うろたえる織田裕二の姿に大笑い。ドリフの大爆笑の雪山セット並の緊迫感のなさ。

まだまだある。説明的シーンを無理に作らないようにしたようで、その結果主人公の行動がきちんと伝わってこない。雪山を何キロも踏破するわけだから、その苦労くらいは観客に伝わらないとねぇ。最低限の説明は必要だと思うのだが。。。。

他にもキリがないのでやめておくが、大金をかけるのだからいい作品を作って欲しい。ヒットさえすれば良いというのでは、あまりに志しが低すぎる。映画の最後に制作テロップで東宝以外に電通やフジテレビなど 多くの名前があがっていた。これを観て非常に不自然に感じたです。映画は商売かもしれませんが、それだけでは哀しすぎます。