自分が印象に残ったのは、主人公達の宇宙船に敵の連中が殴り込んで来た場面だ。ネズミスをふん捕まえた敵は、本当の『ギャラクシー・クエスト』の映像を脇で見ながら言い放つ。「さあ言ってやれ、この映像が嘘だとな！」

　……この場面を見てフト気が付いたのだが、あの宇宙人・サリス達こそ、世間一般で「Ｂ級」や「子供向け」というものに対し物凄く冷ややかな眼しか持てず、何の夢も抱かない連中を象徴したものなのだ。自分などいい歳して他人からキ○ガイと呼ばれるくらいの怪獣好きゆえ、そんな連中が自分のことを馬鹿にすることなど良くあった。成長するにつれて処世術が多少なりとも分かってきた昨今はともかく（いや、転職する前はよくあったかも……）、とりわけ中学・高校あたりの風当たりの強さといったらもう！　他の人達もそれなりに話題にはしてくれるのだが、今思えばただ単にからかっているだけで、自分の趣味に真剣に付き合ってくれる人間は数えるほどしかなかった。

　ならばそんな趣味などやめろ、と言いたくなるかもしれないが、そういう意見を聴くたびに「何て薄情な奴らだ」と常日頃から思う。世間体（というか、そいつら）がどう思おうと、自分の趣味の対象物となる物にそれなりの“魅力”を感じている。上手く説明出来ないが、どこか身体全体で“イイ！！”と感じ、“これはハマってしまうくらいの価値がある！”と思った瞬間を発見出来た時、自分にとっては物凄く幸せなのだ。

　ところがどうだろう、敵の宇宙人……いや、馬鹿にする奴らときたら、ガキ向けだとかチャチいとか観ただけのことしか言わないうえに深く考察することもせず、ただそういうこと“だけ”を取り上げた上で我々を低く見る。おまけに我々のような人間達のことを“現実と嘘の区別も付かずにいる低俗な連中”と思い込んでいる。ならば反論したい。低俗なのはどっちだ？　と。他人の考えを否定し、自分達の方が優位であると信じ込んでいる連中の方が余程醜いうえに低俗じゃないのか、と。

　作りモノだとかそういうことが問題なのではない。自分は趣味の対象物に対し「なぜこんなに面白いものを作れるんだろう？」「この場面や台詞はこういう意味なのでは？」と常に疑問や考察を重ねている（つもりだが、ここシネスケでの皆様方のレビューを読んでいると、まだまだ足らないとすら感じること多し）。ヒドければヒドい、と言える理性も感覚も我々にはきちんと備わっていることを忘れてほしくは無い。なのに奴等は、我々のことをそんな考えも持たず妄信的になっていると思い込んでいるようだ。そこまで偏見している奴等の心が、自分には信じられない。

　そこまで我々の神経を疑うのなら、自分は趣味に対する情熱を簡単に否定出来る人間の神経を疑いたくなる。自分が今ハマッているものは、例え子供向きとかＢ級などと否定されようと、立派な文化の一端なのだ。いやそれ以前に、そもそも文化というのは人間が作ったものだろうに。例え我々の支持している文化が表舞台に出なくとも、現在まで脈々と存続されたのはなぜか？　ファンの支持か？　いや、ファンが付いて支持したくなるような“魅力”がその文化にあったからだ。魅力を見出せず、頭ごなしに「嘘っぱち」だと決め付ける醜い宇宙人の方こそ「現実」というものに対して妄信的になっているのでは、とすら思ってしまうのだ。そんな奴等は、プロテクター号の乗組員達がぶっ潰しにかかるぞ！　そんな自身すら付けさせてくれる作品だった。

　最後に、個人的には「俺、８１話で死ぬんだよ！」と愚痴ってたけど、後に大活躍が認められてレギュラー出演が決定したあの人にベストキャラ賞を上げたいと思います。そうだ、端役がナンだ！他の大スターを追い抜いて福本清三がハリウッドに行く時代である、何がきっかけで出世出来るか分かったものではない。

　……まあこんなことを書きつつ、自分の趣味に自信を持ちすぎて逆に他人をけなしたりしないようにと、自戒を込めながら締めさせて頂きます。しかし最近『ゴジラ FINAL WARS』のコメントといい、俺はどうも似たようなことを話題にしているな。ファンはどうあるべきか、というのが余程気にしているらしい。こんな風にしばしば我を振り返りながら、自分は永遠にファンというものを続けていくのであろう。また新たな冒険へと出発するプロテクター号のように、「ネバー・ギブアップ！ネバー・サレンダー！」と繰り返しながら……。